野々下由香里(ソプラノ)
小倉貴久子(フォルテピアノ)
収録曲:
ゆりかご (平井康三郎 曲/詩)
びいでびいで (平井康三郎 曲/北原白秋 詩)
中国地方の子守歌 (山田耕作 編)
椰子の実 (大中寅二 曲/島崎藤村 詩)
かやの木山の (山田耕作 曲/北原白秋 詩)
出船 (杉山長谷夫 曲/勝田香月 詩)
早春賦 (中田章 曲/吉丸一昌 詩)
浜千鳥 (弘田龍太郎 曲/鹿島鳴秋 詩)
曼珠沙華 (山田耕作 曲/北原白秋 詩)
叱られて (弘田龍太郎 曲/清水かつら 詩)
ちんちん千鳥 (近衛秀麿 曲/北原白秋 詩)
荒城の月 (滝廉太郎 曲/土井晩翠 詩)
舞[初稿譜に基づく] (橋本國彦 曲/深尾須磨子 詩)
くちなし (高田三郎 曲/高野喜久雄 詩)
愛する歌 (木下牧子 曲/やなせたかし 詩)
ひばり・ロマンチストの豚・海と涙と私と・きんいろの太陽がもえる朝に・地球の仲間・雪の街・ユレル・さびしいカシの木・犬が自分のしっぽをみて歌う歌・誰かがちいさなベルをおす
[録音]2021年8月 さいたま芸術劇場 音楽ホール [発売]2022年6月
[解説]野平多美、野々下由香里、全歌詞掲載
ALM Records ALCD-7280 3,080円(税込価格)
日本の文化遺産を未来へとつなぎたいー
野々下由香里の流麗繊細な表現がひらく日本歌曲の魅力
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このディスクは〈毎日新聞〉で特選盤に選ばれました。
BCJのソリストとして古楽シーンで活躍すると同時に、日本人作曲家による新たな創造にも積極的に寄与してきた野々下由香里による、待望の日本歌曲集。近代西洋音楽を急速に取り込んだ戦前の名作と、幅広い層に愛される現代の作曲家・木下牧子の表題作によって、独自の発展を遂げた「日本歌曲」に光をあてる。橋本國彦〈舞〉は初稿にもとづく蘇演録音。
特選盤 大木正純 選
バッハ・コレギウム・ジャパンの声楽ソリストとして広くその名を知られる野々下だが、新作歌曲を数多く初演するなど、邦人作品への造詣も深い。当盤は前半に歴史的作品14曲を、後半には現代作曲家・木下牧子の全10曲からなる組曲を収録した1枚。野々下はことのほか美しい日本語のディクションで、一語一語かみしめるように歌う。清らかな叙情を湛えた秀明なソプラノで歌われる「椰子の実」「早春賦」「荒城の月」などの名曲たちを耳にすれば、それこそ胸を締め付けられるような懐かしさを覚えずにはいられない。唯一異彩を放つ橋本國彦の大曲「舞」での軽妙な歌い回しも聴きもの。一方アルバム・タイトルとされた木下作《愛する歌》はおなじみ、やなせたかしの詩による歌曲集。素朴だが味わい深い、愛すべき小品だ。思わず微笑みが浮かんできそうな歌がいくつも並んでいる。歌を優しく包む小倉のピアノも貢献大。
(後略)毎日新聞 2022年6月14日夕刊
2022年5月27日開催〈CDリリース記念・野々下由香里ソプラノリサイタル〉の様子