シリーズコンサート

小倉貴久子《フォルテピアノの世界》第2回

小倉貴久子のシリーズコンサート《フォルテピアノの世界》

さまざまな時代や地域で生まれた作品を当時のフォルテピアノで、楽しいトークととともにお届けします!

〜ベートーヴェンとともに歩んだ3人のヴィルトゥオーゾたち

フンメル、チェルニー、リース〜

2021年2月12日(金)19時開演(18:15開場)

豊洲文化センター ホール

この公演は終了しました。

C.チェルニー:ピアノ、クラリネット、ホルン、チェロのための協奏的大セレナーデ 変ホ長調 作品126

F.リース:ピアノ、クラリネット、2本のホルン、ヴァイオリン、チェロ、コントラバスのための大七重奏曲 変ホ長調 作品25

J.N.フンメル:ピアノ、フルート、オーボエ、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための大七重奏曲 ニ短調 作品74

フォルテピアノ:小倉貴久子

フルート:柴田 俊幸

オーボエ:三宮 正満

クラリネット:満江菜穂子

ホルン:塚田 聡、大森 啓史

ヴァイオリン&ヴィオラ:丸山 韶

チェロ:島根 朋史

コントラバス:諸岡 典経

この演奏会のライブ映像をご覧ください。


アンコールは全員で揃って演奏!

出演者に楽器のこと、作品のことを話してもらいました。

ページの下まで行くと共演者全員のインタビュー動画が見られます。

全席自由 4,000円 U-25 2,000円

主催・お問合せ・チケット発売:

メヌエット・デア・フリューゲル Tel: 048-688-4921  Mail: mdf-ks@piano.zaq.jp

チケット発売:イープラス

助成:NOMURA 野村財団

後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)/東京藝術大学音楽学部同声会

豊洲文化センター ホール(5階)

東京メトロ有楽町線「豊洲」駅7番出口より徒歩2分/新交通ゆりかもめ「豊洲」駅 改札フロア直結

〒135-0061 東京都江東区豊洲2-2-18

Tel. 03-3536-5061 www.kcf.or.jp/toyosu/

*当公演は感染症拡大予防のため市松模様状に着席不可の席を設け半分以下の定員(138席)で開催します。チケットは完売。当日券の販売も一切ありません。当公演の感染症予防対策について

*U-25は、25歳以下限定のチケットです。入館時に生年月日がわかるもの(保険証・学生証など)をご提示ください。

*未就学児の入場はご遠慮ください。

*都合による演奏者、曲目が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。


第2回公演は、豊洲文化センターホールで管楽器と弦楽器を交えた室内楽の演奏会を開催します。ベートーヴェンの有能な弟子、チェルニーとリース。当時ウィーンでベートーヴェンのライバルとも言われたフンメル。この3人のヴィルトゥオーゾたちの素晴らしい室内楽作品を取り上げます。今日では演奏会に登場することも少ないですが、聴きごたえのある充実した作品たちです。初期ロマン派のピリオド楽器を操る木管・弦楽器奏者の妙技も聴きものです!


フルート:柴田 俊幸 Toshiyuki Shibata 

「ブリュッセル・フィルハーモニック」、「ラ・プティット・バンド」などに参加し欧州各地で活躍。2019年には「B’Rockオーケストラ」とソリストとして日本ツアーを行う。アントワープ王立音楽院音楽図書館/フランダース音楽研究所勤務。©︎Shintaro Miyawaki

 

オーボエ:三宮正満 Masamitsu San’nomiya

ソリストとしてカーネギーホール、プラハの春音楽祭などに出演。「バッハ・コレギウム・ジャパン」首席オーボエ奏者。「アンサンブル・ヴィンサント」主宰。東京藝術大学古楽科講師。田村次男氏と共に歴史的オーボエの製作をおこなっている。

クラリネット:満江菜穂子 Nahoko Mitsue

オランダ留学中に「18世紀オーケストラ」、「フライブルク・バロック・オーケストラ」等の公演に参加。「オーケストラ・リベラ・クラシカ」、「オルケストル・アヴァン=ギャルド」、「バッハ・コレギウム・ジャパン」の奏者として活動。

ホルン:塚田 聡 Satoshi Tsukada

 2度にわたりアムステルダムへ留学。「バッハ・コレギウム・ジャパン」などの古楽合奏団に参加するほか、コンチェルトのソリストでも活躍。「東京フィルハーモニー交響楽団」ホルン奏者。「ナチュラルホルンアンサンブル東京」のメンバー。

ホルン:大森啓史 Keiji Oomori

「千葉交響楽団」ホルン奏者。国内主要オーケストラの首席奏者として客演を重ねるほか、「エマーノン・ブラス・クインテット」、「エロイカ木管五重奏団」、「ナチュラルホルンアンサンブル東京」などでも活躍。洗足学園音楽大学非常勤講師。

ヴァイオリン&ヴィオラ:丸山 韶 Sho Maruyama

「バッハ・コレギウム・ジャパン」などの国内主要古楽団体のメンバー。古楽オーケストラ「ラ・ムジカ・コッラーナ」ディレクター/ソロ・コンサートマスター。シリーズ「バロック・コンチェルト・フェスティバル」を開催。「Con affetto」と「Frenesia」、2枚のソロCDをリリース。

チェロ:島根 朋史 Tomofumi Shimane

サティ音楽院(パリ)修了。東京藝術大学にて博士号取得。現代のチェロ、バロックから19世紀のヒストリカル・チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバを操る。古楽オーケストラ「ラ・ムジカ・コッラーナ」サブディレクター/首席奏者。2019年にCD「Les Monologues」をリリース。

コントラバス:諸岡 典経 Noritsune Morooka

 「オーケストラ・シンポシオン」、「ラ・ムジカ・コッラーナ」ほかのメンバー。モダンから古楽奏者として、またエレキベース等を用いジャズ、ラテン音楽等ジャンルを超えて活躍中。「MOG」メンバー。「青梅リコーダーオーケストラ」指揮者。

楽器紹介

1845年製J.B.シュトライヒャー 製造番号No.3927

Instrument : Fortepiano by Johann Baptist Streicher

 

シュトライヒャー一家は19世紀ウィーンを代表する楽器製作家一族。ヨハン・バプティスト(1796-1871)は、ベートーヴェンとゆかりの深かったナネッテ(1769-1833)&ヨハン・アンドレアス・シュトライヒャー(1761-1833)夫妻の息子にあたる。1845年製の製造番号No.3927は、ウィーン式(跳ね上げ式)の打弦機構を備えており、音域は6オクターヴ半強(80鍵、C1-g4)を数える。弦の張力から木製のケースを守るため鉄柱が2本のみ使われており、ハンマーは皮で何層にも巻かれている。シンプルなアクションゆえの細やかな表現が魅力で、香り立つかのような音色が特徴の一台。


[新型コロナウイルス感染防止対策について]

本公演は新型コロナウイルス感染拡大防止策を講じて開催します。市松模様状に着席不可の席を設け半数以下の定員(138席以下)で開催します。

新型コロナウイルス感染防止のための注意事項・メヌエット・デア・フリューゲルの対応方法を、こちらに掲げていますので、来場前にご一読をお願いします。また、開催の可否などの情報も逐一このページで報告してゆきます。

当公演の休憩時間は15分。終演は21:10頃を予定しています。


演奏会では全員にお話しいただく時間がとれないため、リハーサル時に楽器のこと、作品のことなど、みなさんにひとことずつ話をしてもらいました。


評 フォルテピアノの世界 第2回 手作り感で古楽を楽しく

 フォルテピアノ奏者、小倉貴久子が1845年製の楽器を弾いて、そこに管と弦の古楽器奏者が集う一夜。ベートーヴェン時代の作曲家3人の室内楽曲を、心ゆくまで楽しませてもらった。

 楽しさの秘密は、ずばり手作り感にある。まずはチェルニーの「協奏的大セレナーデ 変ホ長調 作品126」。ホルン(大森啓史)など、弁がないから楽器に挿入した右手の加減が勝負。技巧の品評会のような曲なので、それが成功するたびにこちらも心中喝采を送ることになる。チェロ(島根朋史)も羊腸弦だし、クラリネット(満江菜穂子)も穴を指で直に押さえるので同様。これがモダン楽器だったら、さして面白くなかろう。

 ここに当夜の試みの、一つの肝がある。そしてもう一つ。音色だ。どの楽器も、音域や音量次第でなんと劇的に響きが変わることか。アイデンティティーが複数あるわけで、重奏に比重のかかる次のリース作「大七重奏曲 変ホ長調 作品25」で、色の組み合わせに無限の可能性があることを思い知る。紋切型の多い第2楽章の葬送行進も、これなら聴けるというものだ。

 ただ、「手作りだから音が多少よじれても・・・」と思うことも。モダンに慣れた耳の厄介なところだが、最後、フンメルの「大七重奏曲 ニ短調 作品74」には興奮した。フルート(柴田俊幸)とオーボエ(三宮正満)のノリの良い仕草に刺激されたか、ヴィオラ(丸山韶)、コントラバス(諸岡典経)、ホルン(塚田聡)もすっかりバンドマンの態。転調の妙。拍ずらしの諧謔。ことごとくカッコいい。

 だが、当夜の最高殊勲といえば、疑いなく小倉だ。弾いた音数だけでも天文学的。それが常にくっきりキラキラ笑いかけ、ポジティヴな気を振りまく。天性の音楽家とは、こういうものであろう。12日、東京・豊洲シビックセンターホール。(2021年2月18日 読売新聞夕刊 MUSIC 評 音楽評論家 舩木篤也氏)

 

ベートーヴェンと同時代の3人に光

小倉貴久子《フォルテピアノの世界》第2回

 歴史的なピアノにいろいろな角度から光をあてる企画を続けている小倉貴久子。今回は《フォルテピアノの世界》シリーズの第2弾として、ベートーヴェンと同時代に活躍した3人のヴィルトゥオーゾたち、フンメル、リース、チェルニーの室内楽曲を取り上げた(2月12日・豊洲文化センターホール)。めったに演奏されないが、華麗で技巧を凝らした力作揃いである。使用されたのはウィーンの銘器シュトライヒャー(1845年製)。

 この時代の室内楽というとピアノ三重奏曲や弦楽四重奏曲が思い浮かぶが、3つの作品は編成もさまざまで、ピアノを含む室内楽曲の多様性に気づかされる。チェルニーの《協奏的大セレナーデ》は、ピアノ、クラリネット、ホルン、チェロという4つの楽器による壮大な変奏曲だ。奏者たちはピリオド楽器を用い、温かみのある音色がソリスティックなピアノと溶け合う。チェルニーといえば練習曲でおなじみだが、小倉はソロで2曲を披露。フォルテピアノの軽やかなタッチで奏されると音の粒がエレガントに飛躍する。

 フンメルとリースの曲はいずれも「七重奏曲」で、ピアノ協奏曲と室内楽の魅力を合わせ持つ。クラリネットとホルン2本を含む若きリースの野心作は、第2楽章の葬送行進曲や、スケルツォでのピアノの流麗なパッセージが印象に残った。他方フンメルのほうはフルート、オーボエ、ヴィオラなどが入り、より協奏曲ふうに展開。ショパンを思わせる抒情性や華麗なピアニズム、そしてとりわけ疾風怒濤の終楽章は、来るべきロマン派の息吹を感じさせた。(音楽の友2021年4月号 Rondoより 取材・文=後藤菜穂子氏、写真=林喜代種氏)


【音楽マンション プレゼンツ Life with Music】2021年3月16日放送に小倉貴久子が出演しました。アーカイブ動画をご覧ください。小倉貴久子の登場は22分過ぎから。