小倉貴久子 活動の記録

2008年

○1月19日 保谷こもれびホール

「ハイリゲンシュタット」 com オーケストラ・シンポシオン

指揮:諸岡範澄、オーケストラ・シンポシオン

ベートーヴェン:「合唱幻想曲」ハ短調 op.80

 

○2月5日 富山県 新川文化ホール(小ホール)

新川ムジーク・フラウエン会員のためのコンサート〈クラヴィーアの旅〉

J.S.バッハ :フランス組曲 ト長調 BWV816 (チェンバロ)、ベートーヴェン :月光ソナタ 嬰ハ短調 作品27-2(フォルテピアノ)、モーツァルト :キラキラ星変奏曲 ハ長調 K.265(フォルテピアノ)、シューマン :「謝肉祭」作品9(現代ピアノ)

☆2月23日、3月2日 アクトシティ浜松音楽工房ホール、第一生命ホール

クララ&ロベルト・シューマン クラヴィーア・アンサンブル グラーフのフォルテピアノとともに

共演:桐山 建志、藤村 政芳、長岡 聡季、花崎 薫、笠原勝二

C.シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品7〈室内楽版〉、R.シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44、謝肉祭 作品9

 

【浜松公演】博物館レクチャーコンサート、静岡文化芸術大学文化芸術セミナー

2008年2月23日(土)

14:00開演(開場13:00, 13:15〜 小岩信治のプレトーク)

アクトシティ浜松音楽工房ホール

 

【東京公演】TAN's Amici Concert

2008年3月2日(日)

14:00開演(開場13:00, 13:15〜 小岩信治のプレトーク)

指定席:一般4,000円、学生2,000円

第一生命ホール

【使用楽器】

C.グラーフ作 Conrad Graf (Vienna, 1820?)

浜松市楽器博物館所蔵

 

ロマン派音楽の作曲家ロベルト・シューマンの創作は、とくにピアノという楽器を介して、妻クララと強く結びついていました。クララ・ヴィークの作曲家・ピアノ奏者としての卓越した才能を示す《ピアノ協奏曲》イ短調(1833-36年)は、のちのロベルトの名作《ピアノ協奏曲》イ短調に向かう二人の共同製作の重要なステップでした。ほぼ同じ時期にロベルトがまとめた《謝肉祭》(33-35年)は、本格的なピアノ・ソロ曲の作曲家としての彼の傑出した才能を知らしめた作品。二人は1840年に結婚し、それがロベルトの「歌の年」として、そして翌々年の「室内楽の年」として、創作にも豊かな実りをもたらしました。1842年のロベルトの《ピアノ五重奏曲》は室内楽史の一つの頂点であり、ピアノを通じて結ばれていた二人の輝かしい音楽世界を今日に伝えています。三たび浜松市楽器博物館の歴史的ピアノを使って、小倉貴久子ほかスペシャリストたちが揃ってお届けする演奏、今回もご期待下さい。

「静岡文化芸術大学の室内楽演奏会」監修:小岩信治・平野昭

[The Interview インタビュー]

小岩信治(静岡文化芸術大学准教授)さんが

小倉貴久子(フォルテピアノ奏者)さんにきく

19世紀のピアノを使って

シューマン夫妻がピアノに求めた

夢を表現したい。

小岩:フォルテピアノ奏者として大活躍の小倉さんですが、ふだんは現代のピアノは弾きますか。

小倉:よく弾きます。時間ができると弾くのはショパンのエチュードですね。

小岩:東京芸大ではピアノ科だったわけですしね。学生時代にはどんな曲を?

小倉:ストラヴィンスキーの《ピアノと木管・打楽器のための協奏曲》を弾く機会などもありましたが、やはりシューマンですね。シューマンは学生時代から惹かれていた作曲家です。だからこそ、初めてのリサイタルでも《謝肉祭》をとりあげました。

小岩:それは小倉さんの最近の演奏活動からはあまり想像がつきませんね。TANとの協同制作である「静岡文化芸術大学の室内楽演奏会」の最終回「クララ&ロベルト・シューマン 愛、輝きと優しさ」を準備してきましたが、小倉さんにとってシューマンがそれほど大切だということを実は今日まで知りませんでした。結果的に小倉さんの「心のふるさと」である作曲家を選ぶことになってよかったです。

小倉:確かに歴史的ピアノでの演奏をあまりしていませんが、それには楽器の問題も大きいです。シューマンのピアノ曲に合う楽器がなかなかないのです。今回このようなかたちで演奏できるのはほんとうにうれしいですね。

小岩:昨年の「ベートーヴェンのアンサンブル」ではアントン・ヴァルターの1810年ころのピアノでした。今回のコンラート・グラーフの楽器はそれよりも少なくとも10年以上あとの楽器ですね。どんな点で違いますか?

小倉:依然として現代のピアノとは異なる世界ですが、ヴァルターの硬質な響きに比べるとはるかに豊かでやわらかい響きです。ロマン派の香りがしますね。6オクターヴ半の楽器で、弦を打つ1つ1つのハンマーはさらに大きくなっています。グラーフのピアノのなかでも特別仕様なのか、白鍵に貝が貼られています。

小岩:弾きにくくないのですか?

小倉:自然の素材だからなのか、意外と指になじみます。

小岩:そのような楽器を使っての《謝肉祭》や《ピアノ五重奏曲》にはどのような魅力があるのでしょうか。

小倉:シューマンの場合、大ホールで効果を発揮するというより、ピアノのそばにいる大切な人1人に語りかけるというタイプの独奏曲が多いと思います。《謝肉祭》は外向きな要素もあり、華やかですし、必ずしもその典型ではありませんが、それでも彼の内面の変化がつぎつぎと現れます。マスに訴える音楽ではありません。歴史的な楽器は、そうした彼の音楽の特質を伝えるためにとても重要です。《ピアノ五重奏曲》は弦楽器との響きがとても楽しみですね。この時代のピアノと弦のバランスが、自然な響きとなって聞こえてくるはずです。弦楽器に対峙するためにピアノが全力でぶつかることもあるでしょう。現代のピアノなら室内楽で弦楽器を圧倒するパワーが潜在的にありますが、グラーフの場合はそのような余裕はなく、だからこそ生まれるような真剣勝負の局面があると思います。それは、第一生命ホールのような比較的小さな(といってもシューマンの時代のサロンと比べればずいぶん大きいですが)空間でこそお楽しみいただけるものでしょう。

小岩:そしてもう1つ、このシリーズで毎年室内楽編成で演奏されるピアノ協奏曲、今回はクララ・ヴィーク(シューマン)です。

小倉:クララはパリなどヨーロッパ各地に演奏旅行して、当時の多面的なピアノの世界をよく知っていたピアニストです。ただ、やがて彼女の夫となるロベルトはウィーン・タイプのピアノを好んでいた人ですし、彼女がロベルトの手を借りながら作ったこの作品が目指していたのはおそらく、ウィーンを中心とするピアノ文化で映える音楽だったのでしょう。今回の演奏会を通じて、シューマン夫妻がピアノに求めていたものを表現できたらと思っています。

○3月5日 ソウルアーツセンター 小ホール(韓国)

イ ソヨン フルートリサイタル〈シューベルトとメンデルスゾーン〉

共演:イ ソヨン、酒井 秀明

シューベルト(ベーム編曲):「伝書鳩」「菩提樹」、シューベルト:ソナチネ ニ長調 op.137、ケーラー:シューベルトのメロディーによるコンサートデュエット op.67、メンデルスゾーン(ベーム編曲):デュオ、メンデルスゾーン:ソナタ ヘ長調

 

○3月12日 東京都美術館 講堂

NOMORIイベント・ウィーク「ルーヴル美術館展 フランス宮廷の美」記念コンサート Vol.1「マリー・アントワネットの愛した音楽」

ヴァーゲンザイル ディヴェルティメント ト長調 Op.2-4、ハイドン クラヴィーアソナタ ホ長調、ドゥシーク「フランス王妃の苦悩」、クラヴィーアソナタ ハ長調 Op.9-2

 

○3月26日 東京都美術館 講堂

NOMORIイベント・ウィーク「ルーヴル美術館展 フランス宮廷の美」記念コンサート Vol.3「マリー・アントワネット 幼き日の出会い」

共演:桐山 建志

モーツァルト:メヌエット K.2、アレグロ K.3、「お母様きいてちょうだい」の主題による12の変奏曲 K.265、クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調 K.304、クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ ニ長調 K.306

 

○5月28日 兵庫県立芸術文化センター

バッハ・コレギウム・ジャパン バッハからメンデルスゾーンへ~イエス、わが喜び~

共演:バッハ・コレギウム・ジャパン 鈴木雅明(指揮)、藤崎美苗(ソプラノ)

メンデルスゾーン 賛歌『お聴きください、わが祈り』

 

○6月22日 サクラビア成城

『若尾圭介と親愛なる音楽家たち』の演奏会

共演:若尾圭介(オーボエ)、水谷上総(ファゴット)

ヴィヴァルディ:「忠実な羊飼い」よりソナタ第4番、J.S.バッハ :トッカータニ長調、ベゾッツィ :ファゴットソナタ変ロ長調、テレマン :ソナタ変ホ長調、プーランク :三重奏曲、プレヴィン: 三重奏曲

 

○6月24日 東京オペラシティ リサイタルホール

B→C 辻本憲一トランペットリサイタル

共演:辻本 憲一(トランペット)、崔 栄津(ファゴット)

J.S.バッハ: カンタータ第57番、第78番、フルートソナタ 変ホ長調 BWV1031、M.シュピーグラー :カンツォン、P.ヒンデミット :コンチェルト、C.へーネ :スラヴ風幻想曲、J.トゥリン 《2つのポートレート》から「詩編」、A.ジョリヴェ :コンチェルティーノ

 

○6月4日、6月11日、7月9日 アクトシティ浜松 音楽工房ホール

ロマン主義ピアノ音楽の変遷 ~モーツァルトからショパンまで~

平成20年度 浜松市アクトシティ音楽院コミュニティコース シリーズ「音楽探訪」

共演:平野 昭(講師)

[6/4] W.A.モーツァルト: 「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲 K.265、A.ロゼッティ :ソナタ ト長調 RWV E2、L.v.ベートーヴェン: 自作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34(ワルター製ピアノ)

[6/11]F.シューベルト: 即興曲 変ロ長調 作品142-3、即興曲 変イ短調 作品90-4、2つのスケルツォ D.593(伝グラーフ製ピアノ)

[7/9]F.ショパン: 幻想即興曲 嬰ハ短調、ノクターン 嬰ハ短調、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ(プレイエル製ピアノ)

 

○8月6日 水戸芸術館コンサートホールATM

〈ラ・カンパネラ〉の生まれたころ エラールの歴史的名器で奏でるロマン派ピアノ名曲

共演:矢澤 孝樹(お話)

ショパン:ポロネーズ 変イ長調 作品53〈英雄〉、幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66、カルクブレンナー:ロマンスと華麗なロンド ヘ長調 作品96、リスト:〈愛の夢〉第3番 変イ長調、〈メフィスト・ワルツ〉第1番「村の居酒屋での踊り」、〈パガニーニによる超絶技巧練習曲集〉から「ラ・カンパネラ」ほか

 

☆10月20日 宗次ホール(名古屋)

☆10月21日 しずぎんホール ユーフォニア(静岡)

ロマン派時代のミューズ~メンデルスゾーン演奏会~

共演:桐山 建志(ヴァイオリン)、花崎 薫(チェロ)、星野 宏美(話)

メンデルスゾーン:ヴァイオリンソナタ ヘ長調 作品4、チェロソナタ 第2番 ニ長調 作品58、ロンド・カプリチオーソ ホ長調 作品14、ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49

 

○11月11日 MUSICASA

J'aime le Solfege ーレクチャーコンサート(演奏と講演によるソルフェージュ今昔)ー

共演:ローラン・テシュネ、吉原教夫(テノール)、市瀬陽子(ダンス)

ポール=セザール・ジベール、ルイージ・ケルビーニ、ノエル・ギャロン、オデット・ガルテンローブ、ピエール・ランティエ、オリヴィエ・メシアンのソルフェージュ課題曲、ドビュッシー 喜びの島、青島広志 三月蝶々・クリスマス

 

○11月16日 サントリーホール

川畠成道 デビュー10周年東京特別公演

共演:川畠成道、弦楽アンサンブル

ヴィヴァルディ:「四季」、マスネ:「タイスの瞑想曲」、ファリャ:「スペイン舞曲第1番」、メンデルスゾーン:「歌の翼に」、モンティ:「チャルダッシュ」、グノー:「アヴェ・マリア」、服部隆之:「光にむかって」

 

○11月26日 関東学院大学金沢八景キャンパス礼拝堂

関東学院大学チャペル・プレミアムコンサート 第2回《バロック音楽の夕べ・青山聖樹と仲間たち》

共演:青山聖樹、小林 裕(オーボエ)、水谷上総(ファゴット)、吉田 秀(コントラバス)

ヘンデル: トリオソナタ第6番ニ長調、クラヴサンのための組曲第1集より第5番ホ長調、テレマン: ファゴットソナタヘ長調、C.P.E.バッハ :オーボエソナタト短調、ヴィヴァルディ :コントラバスソナタ第4番変ロ長調、ゼレンカ: トリオソナタ第5番ヘ長調