小倉貴久子 活動の記録

2019年

 □2月1日発刊

ショパン2月号

私にご褒美。ピアニストのためのボディメンテナンス~現役ピアニストのボディ・メンテナンス法!

◯1月27日 北とぴあ さくら

モーツァルティアーナ~小倉貴久子と巡るクラシックの旅

ピアノソロから室内楽、協奏曲まで目白押し!

共演者:モーツァルト・バースデー・オーケストラ(ヴァイオリン:若松夏美(コンサートマスター)、荒木優子、山内彩香、竹嶋祐子、廣海史帆、天野寿彦、ヴィオラ:成田 寛、丸山 韶、チェロ:山本 徹、コントラバス:西澤誠治、フルート:前田りり子、オーボエ:三宮正満、荒井 豪、クラリネット:満江菜穂子、渋谷圭祐、ファゴット:堂阪清高、永谷陽子、ホルン:塚田 聡、大森啓史

モーツァルト:ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331より第3楽章「トルコ行進曲」、ロンド ニ長調 K.485、ピアノ四重奏曲 変ホ長調 K.493より第3楽章、ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452より第1楽章、ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453より第3楽章、ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488

J.C.バッハ:五重奏曲 ニ長調 Op.11-6より第1楽章

 □2月8日 岩手日報

古楽器 弾く妙味(本県ゆかりフォルテピアノ奏者に聞く)

 ともに本県生まれで、フォルテピアノの師弟関係にある小倉貴久子さん(埼玉県さいたま市)と、川口成彦さん(オランダ・アムステルダム)。国内外で活躍する2人は昨年秋、師匠の小倉さんが音楽賞受賞、川口さんが国際コンクール入賞と相次いで栄誉に輝いた。現代ピアノの前身、フォルテピアノの可能性や古楽の妙味をそれぞれに聞いた。(聞き手は学芸部・藤田和明)

 

小倉貴久子さん(一関生まれ)「ピリオド楽器を生かし優れた作曲家と作品を紹介していく」と話す小倉貴久子さん(写真)=東京都

作曲家の息吹感じる

 一関市生まれの小倉貴久子さんは昨年11月、第48回JXTG音楽賞洋楽部門の奨励賞を受賞。古楽の観点から興味深いテーマを設けた演奏会や録音を通じ、作曲家と楽曲の新たな魅力を浮き彫りにした活動が高く評価された。

ー受賞した気持ちは。

 古楽器(ピリオド楽器)の一つフォルテピアノがまだ日本では知られないころから20年以上続く活動を見ていて、評価してくださったことに感謝している。もっと広く知ってもらえるチャンスが広がった。

ー作曲者が活躍したその時代(ピリオド)の楽器で弾く良さは何か。

 ショパンが愛したピアノ、例えばプレイエル社のピアノで弾くと作曲者からじかにレッスンを受けているような気持ちになる。(ショパンの時代と異なる)現代のピアノでは、もはや読み解けなくなっている曲そのものや演奏法についての情報が分かってきて、「こうだったのか」とかみ合う瞬間がある。それがたまらない。

ーふるさと本県への思いは。

 転勤のある親の仕事の関係で、生後半年ほどしか居なかったが、岩手には故郷的な思いがある。宮沢賢治に見る自然との接し方が血の中にある気がしている。

ー昨年の第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで、川口さんが第2位を獲得した。第1次審査突破を現地ポーランドのワルシャワで見届けた。

 東京芸大から指導している。川口さんは1年以上前から準備し、大変な緊張を強いられる場で素晴らしい演奏をしてくれた。

ー今後の予定は。

 シリーズコンサート「モーツァルトのクライーアのある部屋」に一区切りをつけ、19世紀末までを取り上げる「フォルテピアノの世界」シリーズを始める。新しい発見があるだろうと自分も楽しみにしている。

*JXTG音楽賞

1971年創設。66年創設の児童文化賞とともに、わが国の音楽文化、児童文化の向上に尽くした個人、団体を表彰する。音楽賞には邦楽と洋楽の2部門があり、それぞれ本賞を選出。洋楽部門には89年度から奨励賞を設けた。本県関係では2003年度に福井敬さん(奥州市出身)、13年度に小山実稚恵さん(盛岡市出身)が本賞を受賞している。モービル音楽賞、エクソンモービル音楽賞、東燃ゼネラル音楽賞と改称、現在に至る。

*川口成彦さんのインタビューと並んで掲載されました。

○2月14日 トッパンホール

オルケストル・アヴァン=ギャルド第1回公演

共演:オルケストル・アヴァン=ギャルド、渡辺祐介(指揮)、小倉貴久子(独奏)

L.v.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15(バレエ音楽《プロメテウスの創造物》序曲 作品43、交響曲 第1番 ハ長調 作品21 )

◯2月23日 浜松市楽器博物館 天空ホール

浜松市楽器博物館友の会 第16回学芸員との夕べ

アルルの女 ~エラール・ピアノによる魅惑のビゼー ピアノ作品の夕べ~

使用楽器:エラール(1874年 パリ)

G.ビゼー :ノクターン ニ長調 1868年作曲、ラインの歌~6つの無言歌~より 1865年作曲、アルルの女 アルフォンス・ドデの3幕のドラマより作曲者自身によるピアノ版 1872年初演

◯3月5日 いずみホール(大阪)

いずみホール ランチタイム・コンサート 1820年代の楽器で月光ソナタを聴く

ナビゲーター:岡田 暁生

使用楽器:ナネッテ・シュトライヒャー

シューマン:謝肉祭 op.9より1.Preambule、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調「月光」op.27, No.2より第1、3楽章、シューベルト:4つの即興曲op.90, D899 第2番 変ホ長調、メンデルスゾーン:ロンド・カプリチオーソ ホ長調 Op.14、ウェーバー:舞踏への勧誘 op.65, J.260

 

◯3月9日 昭和音楽大学「スタジオ・ブリオ」

ピティナ会員 研修交流会 第6回アンサンブル パーク〈電子ピアノとレッスンの新しい関係へ〉講師

使用楽器:プレイエル(1830年)

〈楽器が変わると、弾き方はどう変わるのか〉

 

◯3月13日 一橋大学インテリジェントホール

シンポジウム「歴史的ピアノと音楽文化〜第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールをふりかえる」

パネリスト:小倉貴久子、太田垣至(鍵盤楽器製作)、松尾梨沙(音楽学)、川口成彦(フォルテピアノ奏者)、小岩信治(司会・音楽学)

使用楽器:プレイエル(1848年)

演奏曲目 ショパン:アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22、四手のためのムーアのアリアの主題による変奏曲、フンメル:四手のためのノクターン 作品99(共演:川口成彦)

 

◯3月17日 逗子文化プラザホール

ピティナ・ピアノステップ トークコンサート

ショパン:子犬のワルツ Op.64-1、アンダンテスピアナートと華麗な大ポロネーズ Op.22

 

◯3月21日 前橋市市民文化会館 小ホール

ピティナ・ピアノステップ トークコンサート

モーツァルト:ソナタ K.331 第3楽章「トルコ行進曲」、ショパン:バラード 第1番 Op.23

 

☆3月27日 近江楽堂

小倉貴久子の《モーツァルトのクラヴィーアのある部屋》第36回 J.S.シュレーター

共演:渡邉さとみ(ヴァイオリン)、松永綾子(ヴァイオリン/ヴィオラ)、懸田貴嗣(チェロ)

J.S.シュレーター:ヴァイオリンとバスつきのクラヴィーアソナタ ニ長調 作品2-1/クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 作品4-5/コンチェルト ハ長調 作品3-3

W.A.モーツァルト:小品 ハ長調 K.15x/ディヴェルティメント(三重奏曲) 変ロ長調 K.254/

クラヴィーアとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 K.301/四重奏曲 ト短調 K.478

 

◯4月14日 西方音楽館  木洩れ陽ホール

鈴木秀美&小倉貴久子 デュオコンサート(第4回西方音楽祭)

共演:鈴木秀美(チェロ)

L.v.ベートーヴェン:モーツァルトのオペラ《魔笛》から〈恋を知る殿方には〉によるクラヴィーアとチェロのための7つの変奏曲 変ホ長調 WoO46、チェロとクラヴィーアのためのソナタ ト短調 第2番 作品5-2
W.A.モーツァルト:パイジエッロのオペラ《哲学者気取り、または星占い師たち》から〈主よ、幸あれ〉による6つの変奏曲 へ長調 K.398、F.シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821

 

◯4月21日 東京文化会館 小ホール

日本モーツァルト協会2019年4月例会〈次世代のモーツァルト〉

共演:梶川真歩(フルート)、毛利文香(ヴァイオリン)

W.A.モーツァルト:フルートソナタ ト長調 K.11、へ長調 K.13、ハ長調 K.14、変ロ長調 K.15、ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 K.481、変ロ長調 K.454

 

☆5月2日 近江楽堂

小倉貴久子の《モーツァルトのクラヴィーアのある部屋》第37回 G.Ch.ヴァーゲンザイル

G.Ch.ヴァーゲンザイル:ヴァイオリン伴奏つきクラヴィーアソナタ ハ長調 作品2-3/ヴァイオリン伴奏つきクラヴィーアソナタ 変ロ長調 作品2-5/コンチェルト イ長調 WV330

モーツァルト:小品 ト長調 K.15y/ヴァイオリン伴奏つきクラヴィーアソナタ ト長調 K.9/オランダの歌「ヴィレム・ファン・ナッサウ」による7つの変奏曲 ニ長調 K.25/ヴァイオリンソナタ 変ロ長調 K.378

 

 

【日本経済新聞 2019年5月16日(木)朝刊P.36 文化面】

文化

古楽ピアノ、響き今に

◇150年以上前の楽器演奏 作品生まれた時代の音再現◇

小倉 貴久子

 

 ピアノというと、多くの方は黒く重厚なグランドピアノの姿を思い浮かべるだろう。だが私が主に弾くのはそれよりはずっとこじんまりとした「フォルテピアノ」だ。150〜250年ほど前の時代のピアノである。

 私が古楽器を始めた30年ほど前はフォルテピアノを弾く演奏家はまだ多くはなかった。だが最近は作品が生まれた時代の楽器を使って演奏する「ピリオド奏法」が盛んになりつつある。当時の人々が聴いていたのと同じ響きを、いま聴くことができるのだ。私はフォルテピアノを弾きながら、聴いてくださる方々に新鮮な音楽体験をしてもらいたいと思っている。

♪♪♪

 目からうろこの演奏

 かくいう私もはじめからこの楽器を知っていたわけではない。東京芸大大学院を休学して、1991年にオランダのアムステルダム音楽院に留学するまで、そんな楽器のことなどよく知らない普通のピアノ科の学生だった。当時はストラヴィンスキーなど20世紀の作品をバリバリ弾いていたから、およそ縁遠い世界だったのだ。

 そんな私がピリオド奏法の魅力にとりつかれたのは91年、オランダのチェンバロ奏者グスタフ・レオンハルトのリサイタルを聴いたのがきっかけだった。このとき彼の演奏の表現力、繊細な音色に目からうろこが落ちる思いをしたことを覚えている。

♪♪♪

 明快で温かな音が特徴

 オランダには当時、アンナー・ビルスマ、フランス・ブリュッヘンら古楽界の重鎮たちが集まっていた。古楽の可能性を探求しようとする機運に触れるうちに興味が募り、自分でもチェンバロやフォルテピアノを弾き始めた。

 木だけでできているフォルテピアノは言葉を話すような明快な音が特徴だ。倍音豊かで温かい音色には、えもいえぬ味わいがある。金属フレームが使われ、音を増幅する機構を持つ現代ピアノに比べると音量ははるかに小さいが、パワーに頼らない表現方法があり、歌うような感覚で弾くと、多彩な感情をつぶさに表すことができる。

 93年、ブルージュ国際古楽コンクールに出場予定だった友人のピアノトリオで、フォルテピアノ奏者が降板することになり、急きょ私に声がかかった。専門の奏者ではないので迷ったが、これもチャンスと思い1カ月間猛特訓して出場。驚きの第1位をいただいた。

 帰国後、モーツァルトやベートーヴェンがウィーンで愛用していた「ヴァルター」というフォルテピアノを購入し、本格的に勉強を始めた。95年にブルージュのコンクールに再び挑み、フォルテピアノのソロ部門で第1位を得た。フォルテピアノ奏者としての活動が本格的に始まった。

 以来、様々なシリーズ公演に取り組んできた。17〜18世紀にフィレンツェで活躍した楽器製作家で、ピアノの発明者であるクリストーフォリの楽器を使ったり、古典派のみならず、ショパンやドビュッシーなどの公演や録音を手掛けたりと、活動の幅を広げてきた。

♪♪♪

 聴き比べで楽しませ

 2012年からは東京オペラシティ(東京・新宿)の近江楽堂で新趣向のコンサートに力を入れている。フォルテピアノの時代の作曲家であるモーツァルトの部屋に「ゲスト作曲家」が訪問するという設定で、モーツァルトとゲストの作品を交互に聴き比べてもらうお話付きのコンサートだ。曲目や編成もソロ、室内楽、歌曲などバラエティーを出している。

 ウィーンで名声高かったコジェルフ、英国で活躍したイタリア人のクレメンティ、モーツァルトの弟子のエーベルル、宮廷作曲家で奏者としても卓越した技量を持っていたヴァーゲンザイル・・・そんな作曲家たちを紹介しながら、200曲以上の埋もれた作品を取り上げた。

 シリーズは残り3回。12月に第一生命ホール(東京・中央)で第40回を迎え、最終回となる。掉尾を飾るゲスト作曲家には、モーツァルトの精神を受け継いだベートーヴェンを選んだ。

 子供たちにも知ってもらおうと、さいたま市でイベントも開き、小中学生が楽器に触れる機会も作っている。フォルテピアノの魅力を多くの方にお伝えできたらうれしい。(おぐら・きくこ=フォルテピアノ奏者)

●5月20日 ムジカノーヴァ6月号〔今月の一曲〕へ寄稿

演奏・指導法 当時のピアノと演奏習慣を知り あなただけのモーツァルトを目指しましょう

 

○5月25日 ヤマハホール

YAMAHA GINZA CONCERT SERIES 珠玉のリサイタル&室内楽

プレイエルで愉しむショパンのサロン音楽 〜鈴木秀美・小倉貴久子が名手たちと奏でる「ピアノ協奏曲」と「チェロ・ソナタ」〜

共演:鈴木秀美(チェロ)、若松夏美・竹嶋祐子(ヴァイオリン)、成田 寛(ヴィオラ)、今野 京(コントラバス)、小岩信治(企画協力・解説)

F.ショパン:マイアベーアの「悪魔のロベール」の主題による協奏的大二重奏曲 ホ長調、チェロソナタ ト短調 Op.65、ノクターン 変ホ長調 Op.9-2、ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11(室内楽版)

 

音楽の友 2019年8月号コンサートレビューより

室内楽 プレイエルで愉しむショパンのサロン音楽

5月25日・ヤマハホール・鈴木秀美(vc)、小倉貴久子(fp)、若松夏美、竹嶋祐子(以上vn)、成田 寛(va)、今野 京(cb)・ショパン「マイヤベーア《悪魔ロベール》の主題による協奏的大二重奏曲」「チェロ・ソナタ」、「ノクターン第2番」「ピアノ協奏曲第1番」

 タイトルに続いて記された、「鈴木秀美・小倉貴久子が名手たちと奏でるピアノ協奏曲とチェロ・ソナタ」のとおり、まさに名手たちによって19世紀にタイムスリップ。「《悪魔ロベール》の主題による〜」は、品格の序奏からアレグレットに展開していくあたり、まずはどうぞと出されたオードヴルとワインが、今日はこれだけでも満足と言える美味、いや名演。続く「チェロ・ソナタ」では、途中で震度4の地震に一瞬ヒヤッとしたが、さすがのホール(建物)。そして毅然かつユーモアあふれる奏者。ヴィンテージ楽器の響きで聴き手を音楽の世界に戻す。鈴木の旋律の響きには、透明感とザラつき具合が程良くあり、特に歌い上げたあとのフレーズの終わりなど、人肌の温もりのようで心に沁みる。小倉は1848年製プレイエルを巧みに操り、支える和声が美しい。

 後半最初の「ノクターン」(小倉のソロ)など、正しいショパン演奏を聴く思い。テンポ感も速い音符も、小倉の打鍵からショパンが意図したことが理解できる。「ピアノ協奏曲」は聴き慣れているモダンピアノと管弦楽での演奏とは当然、趣が異なるが、室内楽編成だからこそ「サロン音楽」を実感し、そういう空間のために書かれた作品であることも再認識。つまり、そこにショパンの真意があるということだ。上田弘子氏評

 

○5月26日 カワイ横浜「プラージュ」

ピティナ・ピアノステップ トークコンサート

D級課題曲より/ジュスティーニ:ソナタ 第3番 よりカンツォーネ、W.A.モーツァルト:ロンド K.485、ショパン:練習曲 Op.25-1「エオリアンハープ」、ドビュッシー:前奏曲 第1巻より 亜麻色の髪の乙女

 

○6月16日 長野市芸術館・リサイタルホール

信州作曲家グループ「山の音」会 作品展'19 第30回演奏会

共演:桐山建志(ヴァイオリン)、花崎 薫(チェロ)

桐山 紘一:ピアノ三重奏曲「犀川の情景」

音楽の友 2019年7月号 People

小倉貴久子 Kikuko Ogura

・フォルテピアノ

取材・文=工藤啓子氏

モーツァルトと同時代作曲家の関連をひもとくコンサートシリーズが最終回

 

 2012年に始めたシリーズ「モーツァルトのクラヴィーアのある部屋」が、本年12月に最終回を迎える。東京オペラシティの近江楽堂という親密な空間で、モーツァルトと、同時代のもう一人の作曲家の関連をひもときながら、両者の作品を当時の楽器で弾き比べる。全40回、登場した作曲家は30名以上を数える。

「モーツァルトが、鍵盤楽器のある部屋にゲスト作曲家を招いて音楽会を開くという設定です。ハイドンやベートーヴェンはもちろん、エッカルト、ベーケ、シュチェパーンといった、モーツァルトに影響を与えながらも忘れ去られた作曲家に焦点を当ててきました。第1回は当時のウィーンで人気のあったコジェルフを取り上げ、二人の『ピアノ三重奏曲』を演奏しました。以来、少年モーツァルトの可愛らしい鍵盤曲で幕を開け、次回の作曲家の作品を出演者全員で披露する『予告アンコール』にてお開き、という『水戸黄門』的構成(笑)で続けてきました』

 創意工夫とサービス精神はモーツァルト張り。鍵盤楽器を軸に室内楽や歌曲など、多様な編成で古楽の名手たちと共演する。古典派時代のフォルテピアノを中心に、使用楽器も多彩。さまざまな楽器が共存していた時代の自由闊達な空気が伝わる。

「作品と楽器には密接な関係があります。当時の楽器とコンタクトをとることで、その曲にふさわしいアゴーギクやダイナミクスが自然とわきあがってくる。モーツァルトの作曲語法や演奏のインスピレーションの源泉は、この楽器にあったのか!と実感することもしばしばです」

 公演は残すところ3回。第38回はモーツァルトとウェーバーのクラリネット作品。第39回はモーツァルトの父・レオポルトを迎え、「ピアノ三重奏曲」の親子競演となる。

「レオポルトは優れた教育者で、幼い息子に対し、学ぶべき作曲家の作品を次々に伝授していきました。私も今回のシリーズで、モーツァルトが多くの作曲家から影響を受け、多彩な作風を築いていった過程を、追体験してきた気がします」

 第一生命ホールでの最終回は、古楽仲間の室内オーケストラとともに、モーツァルトとベートーヴェンの協奏曲を。モーツァルトの「第20番」ではベートーヴェンの残したカデンツァを弾く。「モーツァルトの精神をベートーヴェンの手から受け取る」といった趣向での大団円となりそうだ。

 演奏活動と並行して、フォルテピアノの教育活動にも取り組む。「第2回フォルテピアノ・アカデミーSACLA」では、18〜19世紀中頃の鍵盤楽器8台を一堂に集める。ウィーン式のフォルテピアノ、イギリス式のスクエアピアノ、クリストーフォリの初期型ピアノ、ショパンがマジョルカ島で弾いた「ピアニーノ」などの他、ピアノとは発音機構の異なるタンゲンテンフリューゲルやクラヴィコードなども用いて、公開レッスンやワークショップを行う。

「興味はあっても、実際弾く機会はあまりないフォルテピアノを、まずは体験してもらおうという企画です。古典派が苦手だからこの時代の奏法を勉強すべし、というのではなく、楽器に直接触れ、響きやタッチを感じることで、作品の本質にアプローチする。まさにディレッタント(愛好家)精神のアカデミーです」

●6月20日 小倉宅

フォルテピアノ講座〜ハイドンのピアノ作品について

チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノを用いてハイドンの初期、中期、後期の作品からピックアップしてハイドンの全体像を探る弾きながらの講座

 

☆7月13~15日 さいたま市プラザウエスト 多目的ルームほか

第2回フォルテピアノ・アカデミーSACLA

フォルテピアノにどっぷり浸る3日間~様々な種類の鍵盤楽器が勢ぞろい!レッスン、コンサート、個人練習、体験コーナーも充実

https://fortepianoacademy.jimdo.com