小倉貴久子 活動の記録

1998年

○2月15日 三鷹市芸術文化センター 風のホール

米良美一&小倉貴久子 ハイドン&モーツァルトセレクション

モーツァルト:すみれ、寂しい森の中で、ハイドン:ファンタジア、ありふれた話 他

 

○3月4日 府中の森芸術劇場 ウィーンホール

回顧 ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン ~ドイツロマン派を代表する女性作曲家の多彩な音楽~

共演: 高田あずみ(ヴァイオリン)、諸岡範澄(チェロ)、穴澤ゆう子(アルト)、バッハ・コレギウム・ ジャパン合唱団

ファニー・メンデルスゾーン:クラヴィーア三重奏曲、ピアノ曲集「12ヶ月」より 他

 

○3月26日 イイノホール

日本モーツァルト協会定例会 小倉貴久子ソロコンサート~「モーツァルトとその時代」第2回 モーツァルトvs.クレメンティ~

モーツァルト:ソナタ ニ長調「デュルニッツ」、クレメンティ:トッカータ 他

 

☆4月22日 津田ホール

小倉貴久子フォルテピアノリサイタル

共演:三宮正満(オーボエ)、坂本 徹(クラリネット)、塚田 聡(ナチュラルホルン)、岡本正之(ファゴット)

モーツァルト:幻想曲 ニ短調、ベートーヴェン:クラヴィーア五重奏曲 変ホ長調 作品16 他

 

○7月10日 川口総合文化センター、リリア

リリア・ジュネス・コンサート ~21世紀をになう演奏家たち~

モーツァルト:クラヴィーアソナタ イ短調、ベートーヴェン:7つのバガテル 他

 

埼玉新聞 1998年7月17日(金) 文化ワイド版 

音楽評 リリア・ジュネス・コンサート フォルテ・ピアノの響き

一九九五年のブールージュ国際古楽コンクールで優勝した、フォルテ・ピアノの小倉貴久子のリサイタル。このリリア・ジュネス・コンサートにフォルテ・ピアノが登場するようになったのも、昨今の古楽の隆盛を物語るものだが、演奏の素晴らしさに比べ、やや聴衆は寂しく、まだ一般に古楽が浸透していないことをうかがわせた。同時代楽器による古楽演奏は、今やモダン楽器によるオーケストラの演奏にさえ大きな影響を与えているほどであり、現代の演奏表現の大きな可能性の一つとしての重要性を考えれば、埼玉でももっと積極的に紹介されるべきであろう。豊かな響きをもつこのリリア音楽ホールは古楽には最適といえ、聴衆の少なさを恐れず、今後も、このような優れた企画を期待したいものである。

 さてこの夜は、前半がモーツァルトの「われら愚かなる民の思うは」の主題による変奏曲、ロンドイ短調、ソナタ第八番イ短調。後半がベートーヴェンの七つのバガテルとソナタ第十四番嬰ハ短調「月光」という構成。フォルテ・ピアノは、音量こそ弱いが、陰影に富んだ、柔らかい人間的な響きを持っている楽器である。彼女の演奏はその特質をよく生かしたもので、モーツァルトのソナタのアレグロなど、速い曲では、軽やかな音を生かし、早めのテンポでモーツァルトの持つ「疾走感」を高め、また、ロンドやソナタの第一楽章などでは、陰影に富んだ音色を多彩に駆使して、哀しみの影を帯びた喜びともいうべきモーツァルトの本質を描き出す。後半でも、バガテルの表現の多彩さ、音の背後に静寂を感じさせる「月光」の冒頭など、深い印象を与えた。

 フォルテ・ピアノの響きには、機能性を追求するあまり失ってしまったものが残っていることを感じさせる。それは、中世のステンド・グラスの輝きが不純物の少ない現代ガラスでは再現不可能なことや、純粋な蒸留酒より不純物の多い醸造酒の方が味わい深いことと同じなのかもしれない。七月十日。  (小林淳一氏)

 

○8月26日 札幌コンサートホール キタラ

札幌古楽の夏音楽祭’98 コンサートシリーズ ~アニエス・メロンソプラノリサイタル~

サティ:青銅の像、ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」 他

 

●8月29日 東京音楽大学ホール

全日本ピアノ指導者協会主催講座 ~ピアノの誕生とソナタ形式の確立~

[フォルテピアノの誕生][古典派音楽の語法]

 

☆9月21日 カザルスホール

小倉貴久子フォルテピアノリサイタル

クララ・シューマン:ロベルトの主題による変奏曲、ロベルト・シューマン:幻想曲 ハ長調 他

 

○10月10日 栃木市文化会館

第10回栃木[蔵の街]音楽祭 オーケストラ・シンポシオン 諸岡範澄(指揮) 

ベートーヴェン:クラヴィーア協奏曲第4番 ト長調