小倉貴久子 活動の記録

2005年

○1月22日放送 NHK-FM 名曲リサイタル

小倉貴久子 フォルテピアノリサイタル

モーツァルト:ロンドニ長調、L.A.コジェルフ:クラヴィーアソナタ、ベートーヴェン:月光ソナタ

○1月22日 珈琲倶楽部「和」

第11回サロンコンサート 松堂久美惠(ソプラノ)、小倉貴久子(フォルテピアノ)

シューベルト:「ます」「野ばら」「ガニュメート」「楽興の時より」、ブラームス「甲斐なきセレナード」「子守歌」、ヴォルフ:「つれない娘」「ねずみ捕りのおまじない」、ベルク:「7つの初期の歌よりナイチンゲール」、プフィッツナー:「だから春の空はそんなに青いの?」、R.シュトラウス:「献呈」「みつけた花」「何も」、山田耕筰:「中国地方の子守歌」「鐘が鳴ります」「ピアノのためのからたちの花」、中田喜直:「たんぽぽ」「たあんき ぽーんき」、林光:「四つの夕暮れの歌」、武満徹:「小さな部屋で」「翼」「小さな空」

 

○2月28日 STB139 スイートベイジル

フォルテピアノとチェロの夕べ

唐津 健(チェロ)、小倉貴久子(フォルテピアノ/ピアノ)

モーツァルト:ソナタ、シューベルト:ワルツ、ベートーヴェン「月光ソナタ」、シューマン:「幻想小曲集」、ブルッフ:「コル・ニドライ」、ドビュッシー:チェロソナタ

 Jazzの殿堂、六本木のスイートベイジルにフォルテピアノが運ばれ、小倉貴久子の演奏するモーツァルトのソナタと、シューベルトのワルツ、そして「月光ソナタ」が演奏されました。

 プログラム後半は、チェロの唐津 健さんとシューマンの幻想小曲集、ブルッフの「コル・ニドライ」、ドビュッシーのチェロソナタを息のあったアンサンブルでお届けしました。

 Jazzで有名なライブハウスですが、クラシック音楽のライブ感が尊重されたステージになり、おいしい食事とワインを楽しみながらの抜群の雰囲気が演出されました。(写真はゲネプロの様子)

○5月11日 立教大学池袋キャンパス 第一食堂

ヴァイオリンとフォルテピアノによる『ドイツロマン派の響き』

桐山建志(ヴァイオリン)、小倉貴久子(フォルテピアノ)、星野宏美(お話)

メンデルスゾーン:ヴァイオリンソナタ ヘ長調(1820年)、シューベルト:ヴァイオリンソナタ ニ長調 D384、ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ イ短調 Op.23

 

○5月20日 浜松アクトシティ研修交流センター音楽工房ホール

~ウィーンの音~ ワルター・ピアノ 

小倉貴久子(フォルテピアノ)

モーツァルト:「デュポールのメヌエット」による9つの変奏曲 K.573、ベートーヴェン:クラヴィーアソナタ「告別」Op.81a、シューベルト:即興曲 変イ長調 D-899,Op.90-4ほか

☆6月1日 日本福音ルーテル東京教会

ボヘミアの森から ~チェコのピアノ曲を集めて~ CD「コジェルフ クラヴィーア作品集」発売記念コンサート

小倉貴久子(フォルテピアノ)

J.A.シュチェパーン:カプリス 第3番 ト長調、L.コジェルフ:カプリス 作品45より 第1番 変ホ長調 P.13:3、ソナタ ヘ短調 作品38-3 P.12:37、J.L.ドゥセク:ソナタ ハ長調 作品9-2、V.J.K.トマーシェク:エクローグ 作品35 より、J.V.ヴォジーシェク:ラプソディー 作品1 より 第7番 ニ短調、即興曲 作品7より

 

ムジカノーヴァ 2005年8月号 演奏会批評

小倉貴久子フォルテピアノ・リサイタル〈ボヘミアの森から~チェコのピアノ曲を集めて~〉

 フォルテピアノの力強い音を聴いた瞬間「シュトルム・ウンド・ドラング」(疾風怒濤)という言葉が浮かんだ。小倉貴久子の新譜CD(『コジェルフ:クラヴィーア作品集』)の発売を記念して開かれたコンサートでのこと。この日は「ボヘミアの森から」と題してチェコのピアノ作品を集めて行なわれた。東京芸術大学大学院からアムステルダム・スウェーリンク音楽院に学んだ彼女は、ブルージュ国際古楽コンクールでは93年のアンサンブル部門、95年のフォルテピアノ部門で共に優勝している。

 今回演奏されたのはトマーシェク、ヴォジーシェク、ドゥセクなどのソナタや即興曲といった鍵盤作品。そして後半がシュチェパーンの《カプリス第3番》の後、この日のメイン・プログラム、コジェルフの作品。モーツァルトのハ短調《幻想曲》を思わせる《カプリス》、感情の激しい昂揚をぶつけたヘ短調の《ソナタ》作品38-3などは、奔放に味付けされ、そこにあふれる生命力をの謳歌を盛り込む。そのフォルテピアノから流れ出る圧倒的なパワーこそ、小倉にとって自己を表現するのにもっともふさわしい楽器なのだろう。とにかくこの人の切れ味のよい打鍵とそこに展開される音楽は、聴く者に爽快感を与える。作品に肉薄していくピアニストの情熱や感情の表出は、時に大胆で、時に繊細、自在な境地を見せる。ドゥセクの《ソナタ》作品9-2のメランコリックなラルゲットに続くプレスト・アッサイの華麗な技巧などでは、テンポに対する際立った反応と強弱表現、アゴーギクのセンスを十分に知らしめる。そのなかに往時のウィーンを舞台にした音楽家、とりわけボヘミアの音楽家達への熱い想いが感じ取れた。(6月1日、日本福音ルーテル東京教会)〈河原 亨氏〉

○7月9日 韓国:ソウル

Lee Bal Eum Flute Recital

小倉貴久子(ピアノ)

J.S.バッハ:ソナタ ホ短調、ジルヒャー:変奏曲、ゴベール:ノクターンとアレグロスケルツォ、ドップラー:アンダンテとロンド、ドビュッシー:シリンクス、ライネッケ:ソナタ「オンディーヌ」

 

○7月20日 パルテノン多摩

2005 国際クラリネットフェスト TAMA 東京

E.ホープリッチ(クラリネット) 小倉貴久子(フォルテピアノ)

ベートーヴェン:バセットホルンソナタ(原曲ホルンソナタ)、ヴェーバー:変奏曲

 

○8月19日 都留市文化ホール

都留音楽祭 海外ソリストによるコンサート

R.ミュラー(テノール) 小倉貴久子(フォルテピアノ)

J.ハイドン、G.F.ピント、J.P.ザロモン、F.ラッハナー、F.シューベルトの作品

 

ぶらあぼ 2005年9月号 ニュース小耳大耳

浜松市楽器博物館が貴重な所蔵楽器を録音したCDを発売

 国内の楽器関係の資料館としては最大級の規模を誇る浜松市楽器博物館が、所蔵している楽器を利用したCD4枚をリリースした。そのうち、チェンバロ及びピアノをテーマとしたディスクが3枚を占めているが、そのいずれも制作者の熱意が伝わってくるような、充実した内容となっている。

 とりわけ注目は、コレクションシリーズ4「フォルテピアノ」。このタイトルには、19世紀前半に制作された計6台のピアノによる演奏が収録されている。この時代のピアノという楽器は、産業革命の落とし子だった。技術革新の成果が注ぎ込まれることによって、音域は広がり、音色が変化し、音量は次第に増大していった。そのような物質的な変化を遂げつつも、6台の楽器それぞれの音色、そして美しい外観には、制作者や地域の違いによる明確な個性が刻まれている。このCDを手に取ることによって、各楽器のユニークな個性を、巧みな選曲と演奏によって手軽に楽しむことができる。

 当時のピアノは、発音機構(アクション)の違いによってイギリス式とウィーン式に二分することが出来る。ウィーン式はその名の通り、ドイツ語圏を中心に採用され続けたが、現在ではイギリス式に完全に取って代わられたため、我々が知っているピアノは全て、イギリス式のアクションを備えたピアノである。しかしながら、19世紀初頭のウィーンの作曲家達には、イギリス式アクションを備えたピアノと出会いは、まさに未知との遭遇だった。このディスクには、ヨーゼフ・ハイドンとベートーヴェンが、イギリス式アクションとの出会いから生み出したソナタ2曲(うち1曲はあの「熱情」だ)の第一楽章が収められている。

 他にも、ノクターンの開祖とされるフィールドの作品を、ショパンのノクターンと同時に楽しむことができたり、ベートーヴェンの「エリーゼのために」からシューベルトの即興曲、メンデルスゾーンの無言歌といった作品によって、ウィーン式の楽器が持つ繊細さを堪能できたりなど、当時の楽器の個性を様々な角度で楽しむことが可能だ。そんな収録作品の中でも異色なのは、ベートーヴェンの『創作主題「トルコ行進曲」の主題による6つの変奏曲』。この作品の演奏で使われているウィーン式アクションのフリッツには、ファゴットペダルという独特のペダルや、鐘や響板を叩く太鼓という、現在のピアノでは「あり得ない」メカニズムが内蔵されている。その楽器が奏でるトルコ行進曲は、「打楽器付きピアノ」って有りなのかという価値観を越えて、素直に愉しい。

 ところで、そんなピアノが織りなすドラマの原点は、18世紀フィレンツェのある天才の発明にある。その発明とは、コレクションシリーズ5「クリストーフォリ・ピアノ」で演奏されているバルトロメオ・クリストーフォリによる「グラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」、いわゆる世界初のピアノを指す。クリストーフォリのピアノは、世界には3台しか残されておらず、いずれもその響きを確認できる状態にはないが、古楽演奏の高まりと共に、レプリカの制作が試みられるようになった。このディスクで使われている楽器は、そのようなレプリカ制作の中でも、いち早く1995年によって行われたものである。

 その録音は、クリストーフォリ・ピアノを前提に書かれたジュスティーニのソナタで始まり、ドメニコ・スカルラッティやマルチェッロの作品、そして最後はヘンデルの「調子の良い鍛冶屋」で締めくくられている。そのヘンデルの有名な作品は、コレクションシリーズ3「チェンバロ」の冒頭にも納められているため、当時の2つの楽器の聴き比べが可能となっている。字幅がつきてしまったが、このチェンバロ編の内容も無論充実、特にブランシェの輝かしい音色が印象的である。

 演奏者の小倉貴久子、中野振一郎は我が国を代表する名手達であり、彼ら自身が手がけた解説文は、楽器や作品の魅力を分かりやすく伝えてくれる。ピッチや音域も記載された楽器の紹介を含むオールカラーの解説は、見ているだけでも楽しい。空間的な広がりよりも、楽器の響きに焦点を置いた録音は、楽器それぞれの個性を明確に伝えてくれる。これだけ充実した内容ながら、価格は2,200円と比較的安価な設定。浜松市楽器博物館のミュージアムショップと、小倉貴久子のホームページ(シリーズ4、5のみ)から購入可能。[丸田哲也氏]

 

○10月2日 保谷こもれびホール

オーケストラ・シンポシオン名曲コンサート「永遠のプラハ」

諸岡範澄(指揮)オーケストラ・シンポシオン 小倉貴久子(フォルテピアノ)

モーツァルト:クラヴィーアコンチェルト 第21番 ハ長調 K.467

 

●2005年11月号

ムジカノーヴァ(音楽の友社)[演奏のツボどころ]「様々な様式と表現に彩られたハイドンのソナタ」執筆

 

○12月10日 所沢市立松井公民館ホール 

松井クラシックのつどい No.173  小倉貴久子ピアノリサイタル「幻想と詩情」

ウェーバー:「舞踏への勧誘」変ニ長調 作品65、シューベルト:「さすらい人」幻想曲 ハ長調、ショパン:バラード全曲

 

○12月25日 自由学園明日館 講堂

Viva Amadeus!!シリーズ第3回 小倉貴久子&筒井一貴フォルテピアノデュオコンサート

モーツァルト:4手のためのソナタニ長調K.381、変ロ長調K.358、ヘ長調K.497、変奏曲ト長調K.501、シンフォニー第29番(演奏者による4手版)